人への投資が宿泊業の未来を変える
では、先日ホテル日航 福岡にて開催された「じゃらんフォーラム2026(https://www.jalan.net/theme/info_forum/#time)」の続き記事になります。
「じゃらんフォーラム2026」に参加!宿泊業界の最新動向をチェックしてきました【Part.7】
「働く人に選ばれる宿」が、これからの競争力になりそうですね。
【じゃらんフォーラムとは?】
昨年顕著な成果を残された宿泊施設を表彰するじゃらんアワードや、盛りだくさんのコンテンツを企画するイベントです。
引き続きじゃらんフォーラムにて「株式会社インディードリクルートパートナーズ リサーチセンター 上席主任研究員」の宇佐川 邦子さんによる宿泊施設の「人材不足」に注目したセミナーをご紹介したいと思います。
「選ばれ、共に歩む」宿泊業へ
年間休日120日が“新たな標準”に
企業の年間休日数が年々増加していることが紹介されました。
2025年の企業平均年間休日数は112.4日となり、年間休日120日以上の企業も着実に増加しています。さらに、中小企業でも110〜120日程度の休日を確保する企業が一般的になりつつあります。
こうした変化から、求職者にとって休日数は重要な判断基準となっており、宿泊業でも「休みが取りにくい業界」というイメージを変えていくことが求められています。
働きやすい勤務体制や休日の確保は、人材の採用・定着を左右する重要な競争力になることが改めて示されました。
有給取得率は上昇も、宿泊業は依然として低水準
有給休暇の取得率が年々向上している一方で、宿泊・飲食サービス業は依然として全産業平均を約2割下回る水準にあります。
他業種では有給取得が着実に進む中、宿泊業は改善のスピードも緩やかで、「休みが取りにくい業界」というイメージが依然として残っています。
働き手から選ばれる業界になるためには、有給休暇を取得しやすい職場づくりや安心して休める体制の整備がこれまで以上に重要になると感じました。
介護と仕事の両立支援も重要な人材戦略に
介護をしながら働く人がすでに約10人に1人います。
また現在は介護をしていない人でも、約3人に1人が将来的に介護を担う可能性があると回答しています。
高齢化が進む中、介護は誰にとっても身近な課題となりつつあり、仕事との両立を支援できる職場環境の重要性は今後さらに高まると考えられます。
宿泊業でも柔軟な勤務制度や休暇制度を整え、ライフステージの変化に寄り添える職場づくりが人材の定着につながる重要な取り組みになると感じました。
働き手に選ばれる職場づくりが、これからの採用力を左右する
若い世代ほどライフスタイルや仕事への価値観が大きく変化しており、特に20〜30代では「自由時間」や「柔軟な働き方」を重視する傾向が強まっているようです。
離職防止や採用力向上には、休日や勤務時間などの働き方の改善に加え、育成・キャリアアップの仕組みづくりが欠かせません。
さらに、従業員の高齢化や介護との両立も見据え、年齢やライフステージを問わず誰もが長く活躍できる職場環境を整えることがこれからの宿泊業に求められる重要なテーマだと感じました。
宿泊業は30〜40代の人材が少ない構造に
講演では、宿泊業の年齢構成にも課題があることが紹介されました。
宿泊業は20代の割合が比較的高い一方で、30〜40代の割合は全産業平均を下回っており、若手が定着せず離職してしまう傾向がうかがえます。
本来、現場の中核を担う30〜40代が不足すると、サービス品質や人材育成にも大きな影響を及ぼします。
採用を強化するだけでなく、若手が成長しながら長く働き続けられる環境を整え、30〜40代の中核人材を育てていくことが宿泊業の持続的な成長につながりそうです。
宿泊業で働く人・離職した人の実態
ここからは宿泊業で実際に働いている人や離職した人への調査結果をもとに、業界の現状について。
なぜ宿泊業を選んだのか、そしてなぜ離職してしまったのか。働く人のリアルな声を知ることで採用や定着に向けて取り組むべき課題がより明確になります。
「働く人に選ばれる宿泊業」を実現するためには現場で働く人の価値観やニーズを理解し、それに応える職場づくりがますます重要になることが示されました。
離職を防ぐカギは「働きやすさ」と「納得できる評価」
宿泊業の正社員を対象とした調査では、離職理由の上位には「給与が低い」「休日が少ない」「勤務時間が長い」「体力的にきつい」「仕事量が多い」など、労働環境に関する項目が多く並びました。
一方で、「改善してほしいこと」としては、正社員の増員による業務負担の軽減や休日・休暇の充実、休みを取得しやすい環境づくりに加え、人事評価制度の見直しや評価に見合った処遇改善への要望も高くなっています。
つまり離職防止には給与だけではなく、業務負荷の軽減や働きやすい環境づくり、公平な評価制度、成長を支える教育体制などを総合的に整備することが重要となります。
離職の原因は「給与・休日・長時間労働」、求められるのは働きやすい職場づくり
宿泊業の正社員を対象とした調査では、離職理由として「給与が上がらない」「休日が少ない」「勤務時間が長い」といった、待遇や働き方への不満が上位を占めました。
一方、改善要望では 正社員の増員による業務負荷の軽減や休日・休暇の充実、さらに人事・評価制度の見直しやスキルアップできる教育体制への期待が高いことが分かります。
人材の定着には給与改善だけでなく、働きやすい環境づくりと公平な評価・成長を実感できる仕組みを整えていけるとよいですね。
年代によって異なる離職理由
離職理由は年代によって特徴が異なっております。
20代では「スキルや知識が身につかない」「成長を実感できない」といった、キャリア形成への不満が目立ちます。一方、30代では、「給与が低い」「長時間労働」「残業の多さ」「体力的な負担」「健康への不安」など、待遇や労働環境に関する理由が大きく増える傾向が見られました。
このことから若手には成長機会や育成環境を。
30代以降には働きやすさや処遇改善を提供するなど、年代ごとのニーズに合わせた人材施策が離職防止と定着率向上につながることが示されております。
働きやすさだけでなく「成長したい」という意欲も高い
働く人が「仕事で十分にできていない」と感じていることについて。
最も多かったのは「休暇を取得すること」と「定時で退社すること」で、働き方に関する課題が依然として大きいことが分かります。
一方で、資格やスキルの習得、業務効率化、部下・後輩の育成なども上位に挙がっており、働く人には「もっと成長したい」「より良い仕事をしたい」という意欲があることも見えてきました。
働きやすい環境を整えるだけでなく、学びやキャリアアップを支援する仕組みを用意することが、人材の定着や活躍につながる重要なポイントであると感じました。
人材の定着・活躍に必要な4つのポイント
離職防止と人材の活躍を実現するために重要な4つの要素とは?
1つ目は、休日の確保や柔軟なシフトなど「働き方」の改善。2つ目は、DXや業務改善による業務負荷の軽減です。
さらに、3つ目として評価と報酬が納得感を持って連動する仕組み、4つ目として育成やキャリアパスを見える化し、一人ひとりの成長を支援することが重要だと説明されました。
人材不足を解決するためには採用だけでなく、働きやすさ・成長・評価の3つをバランスよく整え、「長く働きたい」と思える職場をつくることが、これからの宿泊業には求められています。
さいごに
講演では、人材不足を解決するためには採用活動だけでなく、「働き続けたい」と思える職場づくりが何より重要であることが繰り返し語られましたね。
働き方の改善、業務負荷の軽減、公平な評価制度、そして成長を実感できる育成・キャリアパス。この4つをバランスよく整えることが、これからの宿泊業が働く人に選ばれ、持続的に成長していくための重要な鍵になると感じました。
では宇佐川さんの講演、次回まで続きます。
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