変化をチャンスに変え、新たな観光価値を創造する時代へ
では、先日ホテル日航 福岡にて開催された「じゃらんフォーラム2026(https://www.jalan.net/theme/info_forum/#time)」の続き記事になります。
「じゃらんフォーラム2026」に参加!宿泊業界の最新動向をチェックしてきました【Part.5】
前回のBlogでは、少し先の未来をなんとなく想像できましたね。
【じゃらんフォーラムとは?】
昨年顕著な成果を残された宿泊施設を表彰するじゃらんアワードや、盛りだくさんのコンテンツを企画するイベントです。
引き続き、じゃらんフォーラムにて じゃらんリサーチセンターによる「2040年 観光の未来需要予測研究」の内容をご紹介したいと思います。
2040年 観光の未来を考える
インバウンドが生み出す「国内再発見」
1つ目のシナリオは、インバウンドの視点を活用した「国内再発見」です。
訪日外国人旅行者が見つけた地域の魅力がSNSなどを通じて発信されることで、日本人自身が改めてその価値に気づき、国内旅行につながるという好循環が期待されています。
これからは、「外国人に人気だから日本人も行ってみたい」という流れが、国内旅行需要を生み出す重要なきっかけの一つになるかもしれませんね。インバウンド向けの取り組みが、日本人の旅行需要拡大にもつながるという視点が印象的でした。
「短く、何度も旅をする」時代へ
2つ目のシナリオは、短期・高頻度の旅行スタイルの広がりです。
AIの進化や働き方の多様化によって休暇の取り方も柔軟になり、ラーケーション(学習(ラーニング)と休暇(バケーション)を組み合わせた造語)やワーケーションなどもさらに普及すると予測されています。
その結果、旅行は「年に数回の特別なイベント」ではなく、生活を整えリフレッシュするための日常的な行動へと変化していく可能性があります。
宿泊施設にとっても週末需要だけでなく、平日の短期滞在を取り込むことが今後ますます重要なテーマになりそうです。
「誰と行くか」から「なぜ行くか」へ
3つ目のシナリオは、旅の目的そのものが変化するという考え方です。
これまでは家族旅行や団体旅行など「誰と行くか」が重視されていましたが、これからは「何を体験したいか」「なぜ行きたいか」が旅先選びの基準になっていきます。
AIやSNSによるレコメンドの進化により、自分の趣味や価値観に合った旅が提案されるようになり、「推し旅」「ひとり旅」「テーマ旅」など、よりパーソナルな旅行スタイルが広がると予測されています。
これからの宿泊施設には万人受けを目指すのではなく、特定のターゲットに深く刺さるコンセプトや体験を提供することが選ばれる宿づくりの鍵になると感じました。
労働 ~観光を支える「人」がいなくなる~
今後の観光業における最大の課題の一つとして「人材の空洞化」が挙げられました。
観光需要があっても、それを支える人材が不足し「地域に魅力があるかどうか」ではなく「働く人がいるかどうか」が地域の競争力を左右する時代になるという指摘です。
そのため、「働く人」を地域にとっての”内部顧客”と捉え、働きがいや成長を感じられる環境づくりを宿泊施設だけでなく地域全体で進めていくことが重要だと紹介されました。
地域事例:天童温泉
実際の取り組み事例として紹介されたのが、山形県・天童温泉です。
天童温泉では、宿泊施設の従業員が自ら企画・運営する学びの場 「天童温泉NEXT」 を開催。スタッフ同士が学び合い、スキルアップを図ることで人材育成と地域全体のサービス向上につなげています。
「人材の確保」だけでなく、「人が成長し、働き続けたいと思える地域づくり」が、これからの観光地には欠かせない取り組みだと感じました。
地域事例:天童温泉NEXTの成果と今後の展望
「天童温泉NEXT」では従業員の主体性を尊重し、継続して学べる環境づくりを重視している点が特徴です。
研修テーマは現場スタッフの意見をもとに決定し、LINEやYouTubeなど身近なツールを活用。研修も勤務時間内に実施するなど、無理なく学べる仕組みを整えています。
その結果、参加者の約90%が「学ぶ意欲が向上した」と回答し、自ら英語学習を始めるなど、自発的な行動につながる成果も生まれています。
今後は英語以外のテーマへの展開や宿泊業以外の地域事業者にも対象を広げ、温泉街全体で人材育成を進める取り組みへ発展させていくことが紹介されました。
AI・テクノロジー ~AIと共創する時代へ~
これからの観光業はAIと人が共創する時代になると紹介されました。
顔認証によるチェックインやAIを活用した清掃など、テクノロジーの導入はさらに進み、業務の効率化が当たり前になっていきます。
一方で、旅館やホテルだからこそ求められるのは、人にしか生み出せない「おもてなし」や心地よい余白。AIに任せるべき業務と、人が価値を発揮すべき場面を見極めることが重要だと強調されました。
AIは「効率化のための道具」ではなく、人の価値をさらに引き出すパートナー。これからの宿泊業には、テクノロジーとホスピタリティを両立させる視点がますます求められそうです。
事例紹介:箱根の宿泊施設が進めるAI活用
箱根の「ホテルおかだ」の事例も紹介されました。
この取り組みでは、ベテランスタッフが持つ経験やノウハウをAIに蓄積・活用し、「熟練の技を組織の資産として残す」ことを目指しています。
具体的には、多言語での問い合わせ対応を生成AIが自動化したり、リピーターごとの最適な客室提案、温泉設備のIoT監視などを導入。バックヤード業務を効率化することで、スタッフはお客様とのコミュニケーションなど、人にしかできない価値の高い接客に集中できる環境を実現しています。
AIは人の仕事を奪うものではなく、人だからこそ提供できるおもてなしの価値を高めるためのパートナー。これからの宿泊業におけるAI活用の理想的な形を示す事例だと感じました。
価値・文化 ~日本らしさが観光の価値になる~
これからの観光では日本ならではの価値観や文化が、より大きな魅力になると語られました。
「無駄なく使い切る文化」や「自然と調和して暮らす心」、「共感や譲り合いの精神」など、日本では当たり前と思われてきた価値観が、世界ではサステナブルな考え方として高く評価され始めています。
そのため観光は単に景色や食事を楽しむだけではなく、日本の文化や精神性を体験として伝える場へと役割が広がっていくとのこと。
これまで見過ごされがちだった日本の価値を日本人自身が改めて見直し、それを観光の魅力として発信していくことが、これからの宿づくり・地域づくりの重要なテーマになると感じました。
世界が旅に求める価値は「消費」から「心の豊かさ」へ
これからの旅行は「何を買うか・何を楽しむか」ではなく、「どんな体験を通じて心が満たされるか」が重視される時代になると紹介されました。
世界では、心身の健康や幸福を重視するウェルビーイングへの関心が高まり、ウェルネス市場は今後も大きく拡大すると予測されています。また、宗教にとらわれず精神的な豊かさを求める「SBNR(Spiritual But Not Religious)」という価値観も広がっています。
こうした流れの中で、日本に根付く自然との調和、禅、温泉、和食、おもてなしといった精神性は、世界が求める旅の価値そのものになりつつあります。
これからの宿泊施設や観光地には、単なる観光スポットではなく、心が整い、自分を見つめ直せる体験を提供することが、他にはない大きな魅力になっていくと感じました。
さいごに
【じゃらんフォーラム 関連の記事一覧はコチラ】
https://kawashimablog.com/wp01/?cat=45
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※もちろんSNSのDM等でも結構です。
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