これを機におもてなしと防犯対策の両立を
先日、大分県別府市のホテルで、13連泊した韓国籍の男が宿泊費や飲食代など合計約20万5,000円を支払わずに姿を消し、詐欺の疑いで逮捕されたというニュースが報じられました。
男はチェックアウト時に「料金は後で支払う」と告げてそのままホテルを離れ、一時期は連絡がついていたものの、最終的に音信不通になったとのことです。
このニュースを聞いて、「ホテル側の対応が性善説すぎるのでは?」と感じた方も多いのではないでしょうか。
日本の宿泊業界では「お客様を信頼する」おもてなしの心が根強く残っていますが、悪質な未払い・詐欺被害から店舗を守るためには、システムや運用による強固な対策が不可欠です。
今回この事件を教訓に、ホテル・旅館などの宿泊施設が取り入れるべき具体的な未収金防止策について改めて考えたいと思います。
1. 日本のホテル業界に残る「性善説」のリスク
今回の事例では、チェックアウト時に「後で支払う」という言葉を信じ、連絡先が把握できているという理由で退出を許可してしまっていました。
もちろん、現地決済(チェックアウト時払い)という運用自体は長年親しまれてきた形式ですが、以下のようなリスクを常に抱えています。
連絡先の虚偽・解約リスク: 宿泊名簿に書かれた電話番号が捨てアドやプリペイド携帯、あるいは途中で着信拒否・解約される可能性がある。
現場スタッフの対応の限界: フロントで「今持ち合わせがない」「後で振り込む」と強く主張された際、現場のスタッフが強く拒否できず、なし崩し的に認めてしまう。
「お客様を疑わない」姿勢は素晴らしいおもてなしですが、一部の悪質な利用者によって大きな損害を被るリスクと隣り合わせです。
2. 今すぐ見直したい!ホテルが取るべき3つの未収金・詐欺対策
このような被害を防ぐために、宿泊施設は「個人の判断」に頼らない運用の仕組み化を進める必要があります。
対策①:原則「完全事前決済(オンライン決済)」の導入
予約時にクレジットカードなどでの決済を必須とする仕組みです。
メリット: 確実に料金を回収でき、チェックイン・チェックアウトの手間も大幅に削減されます。
効果: 偽名や虚偽の連絡先を使った予約を未然にブロックできます。
対策②:現地決済の場合は「チェックイン時(前払い)」を徹底
どうしても現地決済を残す場合でも、「チェックアウト時払い」ではなく「チェックイン時払い(前払制)」に変更します。
入金が確認できない限り鍵(ルームキー)を渡さない運用にすることで、無銭宿泊のリスクを即座にゼロにできます。
滞在中の追加利用(館内レストランやミニバーなど)については、その都度会計するか、都度カードの仮売り上げ(オーソリ)をとる形式にします。
対策③:連泊(ロングステイ)客への「デポジット(預かり金)」制度の導入
今回のケースのように「13連泊」といった長期滞在の場合、被害金額が膨らみやすくなります。
デポジットの徴収: チェックイン時に、宿泊費+α(館内利用想定額)をクレジットカードの枠抑え(仮売上)や現金でデポジットとして預かります。
中間清算の実施: 「〇日ごとに一度清算する」「館内利用額が〇万円を超えた時点で清算する」といったルールを定め、利用金額が膨らむ前に回収します。
さいごに
今回「後で払う」という言葉を信じた結果、被害届の提出や警察の捜査対応など、ホテル側には宿泊費以上の大きなコストと負担が発生してしまいました。
これからのホテル経営においては、「性善説」に頼り切るのではなく、「未払いが構造的に発生しない仕組み」を作ることが、店舗と現場スタッフを守るために極めて重要です。
ルールや決済システムを明確にしておくことは、真面目にお金を払って利用する99%以上の一般のお客様にとっても、安心でスムーズなサービスの提供につながります。
この事件をきっかけに、改めて自店の決済ルールや運用方法を一度見直してみてはいかがでしょうか?
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