この記事の要点
- 対象
- 契約外のOTAで自館が販売され、販売経路を確認したい施設
- 要点
- 第三者の在庫供給を通じ、直接契約していないOTAで販売される場合があります。
- まずやること
- 掲載画面・料金・宿泊条件を記録し、取引先に在庫の流通経路を確認します。
agodaとは契約していないのに、なぜ自館の客室が販売されているのか?
宿泊施設が契約していない予約サイトで、なぜか自館の客室が販売されている。
皆さんの施設では、このような経験はありませんか?
2026年9月、山形県米沢市・小野川温泉の「鈴の宿 登府屋旅館」が、agodaなど契約していない海外予約サイトで自館の宿泊商品が販売されているとして、SNSで注意を呼びかけたことが話題になりました。
【agodaとは?】
ホテルや航空券、アクティビティなどをインターネットで予約できるオンライン旅行会社(OTA:Online Travel Agency)です。
実はこの問題、決して一部の旅館だけに関係する話ではありません。

今回は、agodaを巡る予約トラブルと、宿泊施設が知らないうちに客室が販売される問題について考えてみたいと思います。
契約していないのに宿泊商品が販売される?
通常、宿泊施設がOTAで客室を販売する場合、予約サイトとの契約やサイトコントローラーとの連携などを通じて料金・在庫を管理します。
ところが実際には、宿泊施設がagodaと直接契約していなくても、agoda上に宿泊商品が表示されるケースがあります。なぜでしょうか?
その理由の一つが「第三者在庫」と呼ばれる仕組みです。
例えば、
- 宿泊施設
- 契約先の旅行会社
- 卸売事業者
- 別の販売事業者
- agoda
流通経路を説明する模式図です。すべての販売がこの経路とは限りません。自館の実際の販売経路と再販売条件は、契約先にご確認ください。
このように、複数の事業者を経由して客室が流通する場合があるのです。
つまり、宿泊施設が直接販売先として認識していないOTAでも、自館の宿泊商品が販売される可能性があります。
ただし、第三者経由の販売がすべて無許可・違法というわけではありません。重要なのは、契約上の再販売条件や実際の流通経路です。
お客様と宿泊施設で予約内容が違う?
問題は、掲載されることだけではありません。
複数の事業者を経由すると、予約情報や販売条件に食い違いが生じるおそれがあります。
例えば、
夕食付きで予約したはずが、宿側には素泊まりで届いている
予約した客室タイプと実際の客室が異なる
大人・子どもの人数や料金条件が一致しない
お客様の予約確認書があるのに、施設側に予約が届いていない
施設側と異なるキャンセル条件で販売されている
こうしたトラブルが発生すれば、最終的にお客様と向き合うのはフロントスタッフです。

宿泊施設側で直接設定した条件ではないにもかかわらず、説明や確認、代替対応を求められる場合もあります。
現場としては、非常に厄介な問題ではないでしょうか?
観光庁も改善を申し入れ
agodaの予約トラブルについては、観光庁も対応しています。
観光庁は2025年3月から改善を申し入れ、Agodaは同年6月26日から、問題が生じていた第三者サプライヤー経由の宿泊商品の販売停止措置を実施しました。
さらに2025年7月15日には、AIを活用した監視や第三者サプライヤーの管理強化などを発表しています。
観光庁は同年8月の会見で、該当する販売停止後、予約トラブルは減少傾向にあると説明しました。
ただし、これですべての第三者在庫がなくなったというわけではありません。
Agodaの公式ヘルプでは、第三者サプライヤーが料金と在庫をAgodaに提供する仕組みが紹介されています。自館の掲載がどの取引先の在庫によるものかは、契約内容と実際の販売経路を確認する必要があります。
問題の本質は「販売経路が見えないこと」
個人的には、今回の問題で最も注目すべきなのは、宿泊施設が自館の客室の流通経路を十分に把握できていない可能性があることだと思います。
販売経路が増えること自体は、宿泊施設にとってメリットがあります。
新しいお客様との接点が増え、稼働率の向上につながることもあるでしょう。
しかし、販売先が増えすぎて管理できなくなると、料金、在庫、宿泊条件、予約情報の整合性を保つことが難しくなります。
知らないところで客室が売られている。
知らない料金で販売されている。
しかも、予約に問題があればフロントが対応しなければならない。
こうした状態は、宿泊施設にとって健全な販売管理とは言えません。
さいごに
今回のagoda問題は、特定のOTAだけを批判して終わる話ではないと思います。
大切なのは、宿泊施設が自館の販売経路をどこまで把握し、管理できているかということです。
予約が増えることはありがたいことですが、販売経路や宿泊条件を管理できなければ、かえって現場の負担につながる可能性もあります。
「どこで売れているか」だけでなく、「どこから在庫が流れているのか」。
これからのWEB販売では、ここまで意識する必要がありそうですね。
次回は、第三者在庫や卸売料金がどのような経路でAgodaなどのOTAに流通するのか、さらに詳しく解説したいと思います。
自館で確認する3項目
- 掲載内容を記録する
掲載画面のURL・確認日時・料金・客室・人数・食事条件を保存し、自館の販売条件と照合します。 - 契約先に販売経路を確認する
どの取引先の在庫か、再販売の範囲や条件を確認します。 - お客様への案内を整理する
予約内容に食い違いがある場合の確認先と対応の流れを、施設内で共有します。
確認する順番や取引先への問い合わせ内容に迷ったときは、分かる範囲でお聞かせください。
掲載経路・販売条件の整理を相談する →参考資料・公式出典
- 観光庁|2025年7月の長官会見(改善申し入れ・販売停止について)
- 観光庁|2025年8月の長官会見(予約トラブルの状況について)
- Agoda Partner Hub|第三者サプライヤーなどの販売パートナー(英語)
公式出典の確認日:
観光庁の説明は2025年当時の記録です。自館の掲載経路や販売条件は、契約先と公式窓口にご確認ください。
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