OTA手数料と広告費を整理し、予約獲得コストと利益を見直そう
宿泊施設のみなさん。毎月、集客のために使っているお金が合計でいくらになっているか、すぐに答えられるでしょうか?
楽天トラベルやじゃらんなどのOTA、Google広告、SNS広告、比較サイト、広告代理店、キャンペーン、ポイント、クーポン……。
それぞれ単体では確認していても、「結局、予約を獲得するために毎月いくら使っているのか?」まで把握できている施設は、意外と少ないのではないでしょうか?
2026年10月9日、宿泊・ホテル業界向けに「広告費削減の最前線と最新の動向レポート」が公開されました。
そこでは、検索広告、ホテル比較サイト、宿泊予約サイトの広告枠、SNS広告、旅行誌などが媒体ごと・担当ごとに別々に契約され、施設全体の広告費をまとめて確認する機会が少なくなりやすいことが指摘されています。
宿泊施設の広告費は、なぜ見えにくいのか
宿泊施設のWEB販売を見ていると、この問題はよくあります。
・OTA担当者はOTAの広告を見る
・WEB担当者はGoogle広告を見る
・SNS担当者はInstagramやFacebookを見る
さらに、広告代理店への運用費、比較サイトへの掲載費、キャンペーン費用などが別々に発生します。
担当者も請求先も違えば、施設全体で「集客に総額いくら使っているのか」をまとめて見る機会は、どうしても少なくなります。
OTA手数料も含めて考えてみる
ここで注意したいのは、広告費だけを見ればよいわけではないということです。
OTAの販売手数料は厳密には広告費とは別ですが、「予約を獲得するためのコスト」という意味では、一緒に確認しておいた方がよい数字です。
たとえば…
- OTA販売手数料
- OTA内広告・特集への参加費
- GoogleやYahoo!などの検索広告
- InstagramやFacebookなどのSNS広告
- 比較サイト・メタサーチ関連費
- 施設負担のポイント・クーポン
- 広告代理店・運用代行費
こうした費用を、一度すべて並べてみる。
それだけでも、かなり見え方が変わると思います。
「売上が増えた=利益が増えた」とは限らない
ここは特に注意したいところです。
たとえば、OTAの売上が前年比120%になった。
一見すると、とても良い結果です。
しかしその裏で…
・広告を追加した
・ポイント倍率を上げた
・クーポンに参加した
・販売手数料も発生した
となれば、売上は伸びていても、予約1件を獲得するためのコストも増えている可能性があります。
大切なのは、「売れたかどうか」だけではありません。
「いくら使って、その売上を作ったのか」まで見ることです。
一度、「集客コストの棚卸し」をしてみませんか?
僕は、宿泊施設のみなさんに「広告を減らしましょう」と言いたいわけではありません。
OTA広告が非常に効果的な施設もあります。
Google広告が自社予約につながっている施設もあります。
必要なのは、広告をやめることではなく、「何に、いくら使って、どれだけ予約につながっているのか」を把握すること。だと思っています。
たとえば。
「長年同じ広告を続けている」
「以前から契約しているから、そのまま更新している」
「担当者しか内容を把握していない」
そんなものがあれば、一度確認してみてもよいかもしれません。
自社予約も、本当に“無料”ではない
よく、「OTAは手数料が高いから、自社予約を増やしましょう」と言われます。
もちろん、自社予約を増やすことは大切です。
ただし、自社予約も完全に無料ではありません。
・予約エンジンの利用料
・ホームページの制作・維持費
・Google広告
・SNS広告
・場合によっては外部の運用費
こうした費用がかかっています。
だからこそ、
OTAだから高い。
自社だから安い。
と単純に考えるのではなく、それぞれの予約を獲得するために、実際どれくらい費用がかかっているのかを見ることが重要です。
そして、
「ここはOTAをもっと活用する」
「この広告は見直す」
「ここは自社予約に投資する」
と判断していく。
WEB販売は、売上だけでなく、利益まで見て設計することが大切です。
集客コストの棚卸し表
表をExcelやGoogleスプレッドシートにコピーし、請求書や管理画面を見ながら記入してみてください。対象月:__年__月
記入用の表を開く(9項目)
スマートフォンでは、表を横にスクロールできます。
| 費用項目 | 対象月の金額 | 契約更新・見直し時期 | 確認先・資料の例 |
|---|---|---|---|
| OTA販売手数料 | ___円 | __年__月 | OTA管理画面・精算明細 |
| OTA内広告・特集参加費 | ___円 | __年__月 | OTA管理画面・申込内容 |
| 検索広告 | ___円 | __年__月 | 広告管理画面・請求書 |
| SNS広告 | ___円 | __年__月 | 広告管理画面・請求書 |
| 比較サイト・メタサーチ | ___円 | __年__月 | 契約内容・請求書 |
| 施設負担のポイント・クーポン | ___円 | __年__月 | OTA管理画面・精算明細 |
| 代理店・運用代行費 | ___円 | __年__月 | 契約書・請求書 |
| 予約エンジン利用料 | ___円 | __年__月 | 契約書・請求書 |
| ホームページ制作・維持費 | ___円 | __年__月 | 契約書・請求書 |
同じ対象月の費用をそろえて確認しましょう。年払い・一時費用・従量料金は区別し、同じ費用を二重に数えないようにしてください。
9項目・金額と見直し時期は記入用の空欄です。対象月をそろえて記入し、編集後はExcelなどで保存してください。
まとめ
宿泊施設では、予約経路が増えれば増えるほど、集客に関する費用も複雑になります。
広告費そのものが悪いわけではありません。OTAも広告も、上手に使えば非常に強い販売チャネルです。
ただし怖いのは…
「昔から払っているから」
「担当者に任せているから」
「売上は上がっているから」
という理由だけで、全体の金額を把握しないまま費用が積み上がっていくことです。
一度、請求書や管理画面を開いて、「うちの宿は、予約を取るために年間いくら使っているのだろう?」と計算してみてはいかがでしょうか?
思っていた以上の金額になっているかもしれませんよ。
そして、その数字が見えたところから、本当の意味での「WEB販売の改善」が始まるのだと思います。
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